菅先生インタビュー2 ベテスダでのカテーテル治療の実態
崎田 よりよい技術をと考える先生達の挑戦によって、医療技術が進んでいるんですね。現在べテスダクリニックでは、どれぐらいの患者様の治療を行っているんですか?

宮崎県都城市のベテスダクリニックで細いカテーテルで循環器治療をおこなう菅好文ドクター
菅先生 昨年で、カテーテル治療が426例、検査が988例です。一つのカテーテル室で、400例を超えるところは少ないと思います。宮崎県内で考えても、2番目ぐらいの治療数だと思います。なぜ、こんなことができたかというと、カテーテル治療にかける時間が短いからです。1件あたりの時間は20分から30分。通常は午後1時よりカテーテル検査・治療を行っており、最大8件までは可能です。
また通常では、検査をしてどこがつまっているかを確認して、スタッフ達とどんな治療を行うか検討会を開いてから治療に入りますが、何回も病院に来てもらうのは大変でしょう?宮崎に来てから特に思ったのは、年配の方の治療を行うことが多いということです。年配の患者さんに、何日もかけるのはかわいそう。できるだけ早く終わらせるために、検査で見た瞬間から治療の検討を始めるんです。だから、検査をしたその日のうちに治療までやって、1日で終わることも多いですよ。
1日に多くて8件、年間400件以上の治療を行っているといいましたが、ここのスタッフの協力体制が良いこともあって、これだけたくさんの治療を行っているにも関わらず、予定手術では、昨年一人も合併症で亡くなった人がいないんです。
崎田 細いカテーテルのほうが、患者様には負担が少ないのに、多くの病院でまだ使われていないのは何か理由があるんでしょうか?
菅先生 細いカテーテルは、細いがゆえに保持する力が弱いんです。血管に入れる際に、カテーテル自体に支える力がないために、使う側は自分のテクニックを最大限に生かさないと扱えない。6フレンチと4フレンチではまったく世界が違うといっても大げさではないと思います。私は8年前より細いカテーテルを使って治療していますが、多くの病院が使用している6フレンチのカテーテルを使っても、4フレンチのカテーテルを使っても、患者さんには違いは分からないんです。だから、治療する側の意見としては、6フレンチのカテーテルを使った方がなれているし、今まで問題なくできていたのでこのままで良いという考え方だと思います。また、手首からのカテーテル治療の方が肘の動脈や足のつけ根の動脈を使うより、血腫ができにくい。だから6フレンチのカテーテルでも問題はないと考えられているのが現状です。
また、医療制度にも問題があるかもしれません。現在は、海外のほうが細いカテーテルを使った治療に強い関心を示している医師が多いですね。海外は高い技術にはいち早く注目が集まりますし、入院日数が少ないことに対しても、技術の高さとして評価される点でも、注目度が高まるのがうなずけます。

宮崎県都城市のベテスダクリニックで使用している細いカテーテル どちらを選びますか?
崎田 先生は新しい技術をもって、海外などで活躍しようと考えられたことはないんですか?
菅先生 世界に打って出たり、若い人をどんどん指導して育成したりするには40代がいいと思うんです。私は現在57歳です。細いカテーテルを使った治療を行っているのは、南九州でも当院だけだと最初にいいましたが、最先端の治療を地方で行うことも大事だと思います。私は今の年齢で、世界に出たりするよりも、地域に貢献することがいいと思っています。
南九州では当院だけが細いカテーテルを使って治療を行っていますが、私はもっと上手になりたいという想いを原動力にして、新しい技術を取り入れたいと思っています。常に最新の技術を学びながら、患者さんによりよい医療を提供していきたいです。